「Original Prusa i3 MK3S + MMU2S」の購入レビュー

前回の記事で新しい3Dプリンターを購入するために比較検討を行いましたが、最終的に「Original Prusa i3 MK3S + MMU2S」を購入しましたので、そのレビューをしたいと思います。

決め手は、その機能の多さと新しい機種が発売してもアップグレードキットが提供され、古い機種でも最新の機種にアップグレードできる点です。

それに、AliExpressなどの海外通販サイトで交換パーツが簡単に入手できるので、保守性の良さも決め手となった理由の1つです。

※海外からの発送で送料が高いですが公式サイト又は、Amazonで購入すると純正の保守パーツが公式サイトから購入が可能になります。

本当は、Amazonで購入したかった(日本だとMMU2Sが販売されていない)のですがマルチマテリルアップグレードキット(MMU2S)も欲しかったので公式ページから注文しました。

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海外のサイトですが、配送先に日本も指定可能です。(公式サイトから日本語の組み立てマニュアルも見れます。)

現在、MK3Sは、マイナーアップデート版のMK3S+になっています。(性能はほとんど変わらないです。)

そちらのアップグレードのレビュー記事もあります。

Prusa i3 MK3Sのキット版は在庫ありで、MMU2Sは在庫なし7月発送予定の状態で、総額$1,144.90で注文しました。($749(Prusa i3 MK3S kit) + $299(MMU2S) + $96.90(DHL送料))(日本円で125000円程)

6/21のPM 22:00に注文をしたところ、翌6/22 AM 0:17には、発送連絡が来ていました。

その後、6/22 AM 4:30にDHLから到着予定連絡(6/26到着)の連絡が来ていました。早すぎ。。。うれしいですね。

ただ、UUU2Sも発送されたのかは、まだわかりません。

佐川急便にて6/25日にMMU2Sも一緒に到着しました。(別途国内消費税と手数料の項目で6380円の支払いがありました。)

合計で13万円位になりましたので、MMU2Sの購入を考えていなければ、金額も変わらないので、Amazonで買った方が楽だと思います。

Original Prusa i3 MK3S 3Dプリンター (キット) [日本正規品]

ちなみにAliExpressでクローン機が半額で購入できます。

クローンprusai3 mk3sプリンター

公式のやつと精度が違いらしいですが、お金とやる気があればクローンと比較してみたいですね。)買っちゃいました。。。

早速、「Original Prusa i3 MK3S」開封の儀です。

PRUSA i3 MK3Sの方から開封です。

厚めの組み立てマニュアルと、なぜがグミが。。。組み立てマニュアルは、公式サイトに日本語のが公開されているので、そちらを見ます。

組み立てのセクションごとに分が箱詰めされているので、組み立てるときに迷うことが無いです。

組み立てに必要な工具も梱包されています

次に、MMU2Sです。思っていたよりも大きめの箱に入っていました。

こちらも組み立てマニュアルと、なぜかまた同じグミが。。。

このグミ、ハリボーグミと呼ばれるものらしく、ヨーロッパではとてもメジャーなお菓子っぽく、日本でいう「うまい棒」的なものですかね??

まー海外のお菓子は外れると怖いので、会社に持って行って周りに配るが吉ですね。

組み立てについてですが、 週末に Prusa i3 MK3Sを組み立て始めましたが、 過去に何度か3Dプリンター組み立てたので慣れていると思いましたが、なんだかんだと 土日合わせて合計で8時間くらいかかってしまいました。(結構大変です。)

このMK3Sを組み立てた後にクローンのPrusa i3 MK3Sを何台か組み立てる機会があったのですが、電動ドライバーがあると、組み立ての効率が凄く上がります。

精密タイプのトルクが弱い電動ドライバーでも、最後の締め付けだけを手動でやるだめでも十分効率的に組み立てることが可能ですので、おすすめ。(M2.5の六角ボルトを一番使用します。)

もし組み立てに不安がある方であれば、組み立て済みのを購入するのもいいかもしれません。

ただ、それぞれのパートごとに部品がパッケージされているのですが、 他のパートはぴったりだったにも関わらず、 E軸(エクストルーダ)だけネジが余ってしまいました。。。(説明書を見返しても抜けを見つかられませんでした。)

組み立て後に印刷をしましたが特に問題がなかったので、余分に入っていたようです。

余った部品

また、特に組み立ての写真は撮っていないのですが、今回購入した Prusa i3 MK3Sでは、電源モジュールが新しいタイプになっていました。(Amazonとかで話題になっている電圧の問題が解決しているかもです。)

追記:2年ほどPETGなどの印刷で利用していますが、1度も電源周りでトラブルが起きていないので、この電源であれば、以前、話題になっている電源周りの問題が解決していると思います。

シルバーの電源からブラックの電源になっています。
電源の型番

この電源は、接続した電圧を自動で判別してくれるようです。

以前、Aliexpressでパーツを集めて組み立てたPrusa i3 reworkと比べて全体的なつくりは一緒ですが、一つ一つの部品の品質が良く、いろいろと改善と拡張がされています。

完成

完成後に電源を入れると、取り付けた液晶に初期設定ウィザードを開始しますの趣旨が表示されます。(後からでもできます。)

説明通り初期設定を始めると、まず、組み立てが正しく行われているかのチェックを行い、次に各X・Y・Z軸それぞれのキャブレーションが始まります。

新しいPrusaは、それぞれの軸にリミットスイッチが無くてもちゃんとX・Y・Z軸の距離を認識しています。(取り付けた「P.I.N.D.A. 2 PROBE」がヒートベッドの何かを読み取ってるようです。)

で、最後にPLAフィラメントをエクストルーダに挿入してZ軸の調整になります。

ジグザクの線が出力されるので、出力されるフィラメントの高さを見ながら、液晶画面横のスイッチでZ軸のオフセットを変えて、ノズルとプラットフォームの高さを調整します。

無事、初期設定が終われば、あとは好きなものを印刷するだけです。

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・テストプリント(劣化フィラメント)

早速、付属のSDカードに入っているサンプルを印刷してみました。

ロゴのサンプル

使用したフィラメントは、数年前に購入したユニチカのテラマックで、保存状態は劣悪にもかかわらず、ちゃんときれいに印刷されました。

何より、スイッチを入れてプラットフォームの調整をせずに印刷を開始するだけで、きれいにちゃんと出力されるのはとても楽です。

それに、ビルドプラットフォームがフレキシブルなので、上記のような薄いものでも印刷後に軽く折り曲げるだけで剥がせるの凄く良いです!

・印刷ベンチマーク

例のごとく「3DBenchy」をレイヤー0.3mm、インフィル15%、PLAで印刷をしてみました。使用したフィラメントは、上記のユニチカのテラマックではない、その辺に転がっていたフィラメントになります。

正面から
横から
後ろから
下から、文字も潰れずに綺麗に印刷されています。

クリアフィラメントだと光の加減で写真では良くわからなくなってしまいました・・・。

しかし、実物はとても綺麗に印刷されています。

・スライサーによる比較

比較は、標準のスライサーのPrusaSlicerとSimplify3Dとの比較になります。(Simplify3Dは、Prusa ResearchのサイトからMK3S用のプロファイルをダウンロードしてインストールしてあります。)

どちらもデフォルトで用意されている積層0.3mm・インフィル20%・サポート有りにした「FASTモード」での印刷です。

使用したフィラメントは、Amazonでレビューの多い「SUNLU PLA Plus フィラメント ブラック」を使用しました。

個人的な感想として、このフィラメントは粘りがあり、糸引きが出やすいです。

で早速印刷してみます。まずは、標準のスライサであるPrusaSlicerです。

印刷時間は5時間強です

次は、Simplify3Dです。

印刷時間は4時間強です

それぞれの印刷したものの比較になります。左が「PrusaSlicer」、右が「Simplify3D」になります。

上面
サポート材除去側面
ヒートベッド面

結果としては、印刷の品質で言えば同じくらいですが、Simplify3Dで印刷したサポート材は、PrusaSlicerに比べて圧倒的に取り外し易いです。

印刷速度もSimplify3Dの方が早く、はやり有料ソフトの力といったとこです。(PrusaSlicerでも十分問題ないです。)

あと、プラットフォームへの食いつきですが、そこまで強くはないので、小さい部品を印刷するときは何かしら対策した方が安心です。

・オーバーハングテスト

基本的にFDM式の3Dプリンターの場合は、オーバーハング(印刷面が宙に浮いた状態)での印刷は難しいので、サポートを使う場合がほとんどです。

しかし、短い距離であればサポート材が無くてもオーバーハングの印刷が可能です。

今回は、サポート無しで15mmの中空が印刷可能かのテストになります。(使用したスライサーは、PrusaSlicerになります。)

おぉぉ!思っていた以上にサポートが無くても綺麗に中空の部分が印刷できています。

今回のテストは、中空部分の距離を17mmとしましたが、まだ余裕がありそうです。

・印刷耐久性テスト

言葉がわからないのでそう呼んでいますが、つまるところ長時間印刷しても問題なく印刷できるかの確認になります。

印刷の環境としては、真夏の部屋で30時間連続印刷の結果になります。

もちろんエアコンも無い部屋ですので、30時間の印刷の間は常に平均気温30度以上です。

印刷結果
総利用フィラメント量

結果、劣悪な環境下でも全く問題なく印刷ができました。すごい!。想像以上に安定しています。

フィラメント使用量もほぼ1kgのリールを使い切る量でした。

後日、 ホットエンド:260度・プラットフォーム:90度で印刷時間:15時間程のPETGの印刷も試しましたが、電源周りで問題発生せず、綺麗に印刷が出来ました。

いろいろと試してみましたが、やっぱり世界で1番売れているだけあって、いろいろな面でかゆいところに手が届いている感があり、買ってよかった3Dプリンターです。

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・ビルドシートについて

あと余談ですが、Prusa i3シリーズには、2種類のビルドシートがあり、 購入時にどちらか、もしくは両方(追加費用)を選べます。 今回利用したのは、「Spring Steel Sheet With Smooth Double-sided PEI」です。

(最近だと「Double-sided Powder-coated Satin Spring Steel Sheet」ってのもありますが、詳細は不明です。)

「Double-sided Textured PEI Powder-coated Spring Steel Sheet」 と「Spring Steel Sheet With Smooth Double-sided PEI」です。パウダーコートかPEIの違いですが、具体的には以下の写真をご覧ください。

左が 「Double-sided Textured PEI Powder-coated Spring Steel Sheet」で右が「Spring Steel Sheet With Smooth Double-sided PEI」 になります。

具体的には、パウダーコートはシート面がエンボス加工の様なザラついた感じになるのに対して、PEIは、なめらかでツルツルの面になります。

好みで選べばよいと思いますが、Prusa i3のプリントパーツは、 パウダーコートで印刷されています。

パウダーコートのメリットは、エンボス面に印刷のレイヤーぽさが残らない点と、高温になるとフィラメントを強力に定着させ、冷えると定着が弱くなる性質があります。

PETGを印刷するときはレイヤーの食いつきがよく、冷えると簡単に外れます。

若干、 「Spring Steel Sheet With Smooth Double-sided PEI」 に比べて「Double-sided Textured PEI Powder-coated Spring Steel Sheet」 の方がやや板厚が薄いので交換するたびにZ軸の調整が必要です。

個人的には、印刷面がエンボス加工のようになってしまいますが、PETGを印刷するときの食いつきの良さからパウダーコートシートがおすすめですが、PLAで利用すると食いつきがいまいちなので、使用するフィラメントに合わせて使い分けるのがよさそうです。

次は、お待ちかねのMMU2Sの組み立てとレビューですが、長くなってきてしまったので、別記事でご紹介しようと思います。

※MMU2Sの組み立てマニュアルを読んだところ、組み立てたエクストルーダーを1度分解する必要があるため、余裕があれば、Prusa i3 MK3Sの組み立てと並行してやった方が効率が良いです。

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