小型でコンパクトなThunderbolt接続のeGPUボックスを自作してみる。

以前の記事でThunderbolt4ポートにThunderbolt3対応のeGPUボックスを接続してのベンチマークテストの記事を書いたのですが、しばらく後に設置場所の面などで使用していた外付けのeGPUボックス「Razer Core X Chroma」とグラフィックカードを手放してしまいました。

しばらくはノートPC内臓のGPUでも事足り生活だったのですが、夏も終わりに近づき涼しくなってくるとPCゲームをやりたくなってくるのと、最近では、画像生成AIがオープンソースで公開されたりと、強力なグラフィック性能が欲しくなってきました。(丁度、グラフィックカードの価格も下がってきましたし。)

ただ、前回みたいに市販のeGPUボックスは、デカすぎ重すぎで置き場所に困るため、悩んでおりました。

小型で電源部分がACアダプタータイプのeGPUボックスがAliExpressで販売されていますが、値段が少々お高い(といってもお手ごろな価格です。)ので、今回は自作キットを利用しようと思います。

thunderbolt 3 to PCIE 3.0 x 16 PCI-E Expansion box Mini graphics dock stand by Audio card Video card Networking card

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ってことで、以前より気になっていたThunderbolt3/4対応のGPUドックキットでコンパクトなeGPUボックスを自作してみようと思います。

あと、記事の後半でThunderbolt4で接続したeGPUボックスに搭載した下記4種類のグラフィックカードのベンチマークも合わせて掲載したいと思います。

GTX 1060
GTX 1660
RTX 2060 SUPER
RTX 3060

購入したのは、下記の「TH3P4G3」と呼ばれるGPUドッグになります。

Upgraded TH3P4G3 Thunderbolt-compatible GPU Video Card Dock Laptop to External Graphic Card for Macbook Notebook PD 60W 40Gbps

価格は、送料込みで2万円ほどになりますが、セールの時などを狙えば、数千円安く購入可能です。

ACアダプターでの運用を考えているのであれば、下記のeGPUドックもよさそうです。(搭載されているチップは、TH3P4G3と同じっぽいです。)

と思いましたが、製品説明にACアダプターでの利用時は75wを超えないことと記載があるので、ACアダプターでGPUで使用するには難しいかもです。

Thunderbolt3/4 Gpuドック-外部グラフィックカード,ノートブック用,pd 60w 40gbps,広く互換性があります

TH3P4G3の詳細になります。

キットと言ってもThunderboltでグラフィックカードを接続するGPUドック基盤と、電源固定用のアルミパーツだけになります。

ポート類は、PDポート・デイジーチェーンポート・USB 3.0ポートと、小型のわりに充実しています。

このキット以外にATXまたはSFX電源とグラフィックカードを用意すればいいだけです。(電源固定用のネジは別途用意する必要がありました。)

到着したTH3P4G3です。ちゃんとした箱に入っていて大きさもコンパクトです。

付属品は、GPUドック本体以外には、ATX電源用とSFX電源用のそれぞれのバックパネルブラケットと電源留め具・あとはペラのマニュアル・ドライバー・50cmのThunderbolt4ケーブルでした。

GPUドックは、

GPUドック表側
GPUドック裏側

作りなども特に粗い点もなく、品質は良さそうです。

今回自作するeGPUボックスは、可能な限りコンパクトにしたいので、SFX電源を使用します。

グラフィックカードも長さが短い「GeForce GTX 1060 AERO ITX 3G OCX」にしました。長さは178mmになります。

GeForce GTX 1060 AERO ITX 3G OC

AERO ITXシリーズであれば、カード長が短く、いろいろと種類があるのでお勧めです。

次に電源になります。

今回購入したeGPUドックは、ATX電源も搭載できますが、なるべくコンパクトにしたかったため電源は、フリマサイトで300wのSFX電源を2千円ほどで購入しました。

購入したSFX電源

組み立ては、eGPUドックに電源用のバックパネルを取り付けて電源を固定するだけです。

裏側です。eGPUドックと電源を接続します。安い電源なのでプラグインタイプの電源ではないので、ごちゃついていますが、仕方がないところです。

結束バンドなどでケーブルをひとまとめにするなど工夫が必要です。

組み立て自体は、とても簡単ですので5分ほどで完了します。

eGPUドックと電源の組み立てが完了したら、グラフィックカードを取り付けます。電源のケーブル類は結束バンドでコンパクトになるように無理やりまとめました。

ドックにビデオカードを取り付けたところ

グラフィックカードを短いタイプにしたせいもありますが、以前持っていたeGPUボックスのRazer Core X Chromaに比べて3分の1くらいの体積になりました。すごくコンパクトです。

写真は横置きですが、工夫して縦置きにすれば設置面積をより節約できそうです。

組み立てが完了したら、ノートPCのTbunderbolt 4ポートとeGPUドックのPDポートを付属のThunderboltケーブルで接続します。接続するだけで、特に何もせずにWindowsであればグラフィックカードが認識されました。

今回使用したOSは、Windows 11 Homeになります。

eGPUドックがPD対応ですので、eGPUボックスから給電されるので別途Type-Cで電気を供給する必要がないので良いです。

・GTX 1060 3G(MSI AERO ITX)

あとは、3D MARKでベンチマークを計測してみます。

・内臓グラフィック(Iris Xe)の結果

比較用に内蔵グラフィックのベンチマーク結果です。

内臓グラフィックにしては良いほうですが、3Dゲームなどをするには厳しいスペックです。

・eGPUドックを接続してノート側のモニターに出力した結果

次にeGPUボックスを接続して、ノート側のモニターで表示したときのベンチマーク結果になります。

グラフィックカードで処理した結果を再度、PC側に戻すのでパフォーマンスが悪くなりますが、内臓グラフィックに比べて、2倍以上のパフォーマンが出ています。

・eGPUドックを接続してグラフィックカード側から外部モニターに出力した結果

最後にノート側のモニターには出力せずに、グラフィックカード側から外部モニターのみに出力した結果になります。一番ベンチマークが良くなる接続方法です。

内臓のモニターに出力するのに比べて約7%程のアップになりました。

eGPUボックスがキチンと動作することが確認できました。

市販のeGPUボックスは、せっかくのノートPCの取り回しの良さを帳消しにするほどに置き場所に困りますが、今回の購入したeGPUボックスは、短いグラフィックカードを選ぶなどすれば、かなりコンパクトにできます。

・GTX 1660 6G(MSI AERO ITX)

「MSI AERO ITX GTX 1660 6G」も手に入りましたので、こちらも動作確認をしてみます。

Thunderbolt 4ポートの接続で問題なく認識しましたので、3D Markのベンチマークを実施します。

・eGPUドックを接続してノート側のモニターに出力した結果

・eGPUドックを接続してグラフィックカード側から外部モニターに出力した結果

ノートPC側の画面に映すのも外部ディスプレイに映すのもパフォーマンス的には同じでした。

・RTX 2060 SUPER 8G(RTX 2060 SUPER VENTUS XS J OC)

「RTX 2060 SUPER 8G」も手に入りましたので、こちらも動作確認をしてみます。

Thunderbolt 4ポートの接続で問題なく認識しましたので、3D Markのベンチマークを実施します。

・eGPUドックを接続してノート側のTyp-Cポートからモニターに出力した結果

・eGPUドックを接続してグラフィックカード側から外部モニターに出力した結果

ノート側のType-Cポートからの外部モニターへの出力に比べて約6.4%程パフォーマンスがアップしました。

・デスクトップPCに接続

比較用にeGPUを使用せずにデスクトップPCに同じグラフィックカードを搭載してのベンチマークになります。

CPUの速度が段違いですが、eGPU接続に比べて7・7%程スコアがアップしています。言い換えると、eGPU接続でも通常のPCI-E接続に比べて7・7%程度の低下で使用することが可能です。

・RTX 3060 12G(ASUS DUAL)

後日、よりハイスペックなRTX 3060のグラフィックカードで試したところ、

デバイスマネージャーで確認すると、「このデバイスが使用できる空きリソースが不足しています。(コード12)」となっており、eGPU側から出力することができませんでした。

利用しているOSはWindows 11になりますが、色々調べるとeGPU接続の場合に相性?が厳しいらしく上記の問題が発生するみたいです。

解決方法が無いかをインターネットで探したところ、Windowsのフォーラムで似たような報告がありました。

内臓グラフィックを無効にしてみると言うのがあったので、やってみたところ、無事、認識されましたが、ただ、無効にするだけでは認識せずにケーブルを抜き差しといろいろとやってたら、なぜか認識しました。(うーん。。)

ただかなり不安定で、再起動とかするとすぐに上記のコード12が発生してしまいます。。

認識しているうちにベンチマークを測定しました。

思ってより速度がでていないですね。。

相性の問題がeGPUには付きもののようですが、挑戦してみる価値はあるかもしれません。

今回使用したのは、Lvenovo製のIntel 12世代CPUのノートPCですが、妻が使用しているASUS製のIntel 11世代CPUを搭載したノートPCでも同じくリソース不足が発生しました。(共にThunderbolt4ポートに接続)

ただ、認識するときもあるので物理的にダメってことはなさそうです。

機会があれば、Thunderbolt3ポートに接続してみたり、Thunderboltポートが1つだけのPCとかで試してみたいですね。(今回試したノートPCは、両方ともThunderboltポートが2つ)

なんとなくですが、RTX 2060以降から上記のリソース不足が発生しそうな感じです。

Upgraded TH3P4G3 Thunderbolt-compatible GPU Video Card Dock Laptop to Exte

よりコンパクトなeGPUボックスの自作計画を以下の記事で考えております。

ThunderboltとOculinkでの接続比較記事もご興味があれば。

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