新型Original Prusa MK4とMMU3の購入レビュー

待ちに待った、Original Prusa MK4が2023/3/29に発売されました!

すでに公式サイトでは、組み立て済みモデルの販売(1099ドル)が開始されております。(2023/5/12時点で注文してから5~6週間待ちです。)

さらにキットモデル(799ドル)の予約も開始されており、新規購入の発送は7月以降順次となっています。

価格も、前バージョンのMK3S+から+50ドルと少し高くなりましたが、MK4発売に合わせてMK3S+の組み立てキットが649ドルに値下げされています。

・Prusa MK4のスペック

早速、全モデルのMK3S+とMK4のスペックの比較をしてきます。比較した表の中でアップグレードされた部分については色を変えております。

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  Original Prusa MK3S+ Original Prusa MK4
最大印刷サイズ 25cm x 21cm x 21cm 25cm x 22cm x 21cm
レイヤー 0.05 – 0.35 mm 0.05 – 0.35 mm
最大速度 200+ mm/s
最大温度 300 °C / 120 °C 300 °C / 120 °C
ステッピングモーター 1.8° X,Y stepper motors 0.9° X,Y stepper motors (prevents VFA)
エクストルーダ ダイレクトドライブ Nextruder ダイレクトドライブ
メインボード Einsy RAMBo 8-bit board 32-bit xBuddy board
LCD モノクロ液晶 3.5インチカラー液晶
プリント面 マグネティックヒートベッド(フレキシブルプラットフォーム) マグネティックヒートベッド(フレキシブルプラットフォーム)
フィラメント径 1.75 mm 1.75 mm
サポート素材 ナイロンとポリカーボネートを含む熱可塑性プラスティック ナイロンとポリカーボネートを含む熱可塑性プラスティック
有線LAN接続 ✕(外付けRaspberry Pi経由)
Wi-Fi接続 ✕(外付けRaspberry Pi経由)
センサー 3つの温度センサー 4 high-precision thermistors (genuine Semitec)
キャリブレーション 自動オートレベリング 自動オートレベリング
マルチマテリアル対応 〇(MMU2s/MMU3) 〇(MMU3)
フィラメントセンサー 対応 対応
組み立て 組み立て/半組み立て済み 組み立て/半組み立て済み
電源 240w 240w
本体サイズ(D x H x W) 55cm x 40cm x 50cm 55cm x 40cm x 50cm
価格 $649 $799

まず、メインボードがカスタムの32bitになり、液晶も大型のカラー液晶が搭載され高速化と操作性が向上しています。(タッチ操作には対応はしていなさそうです。)

(このメインボードに直接USBカメラを接続することも出来るようです。)

これらのアップグレードによって、MK4の一番の改善点である印刷スピードが最大70%もアップします。(凄い!)

例えば、81分かかっていた印刷が、たったの20分に短縮されると紹介がされていました。

次にエクストルーダが、Prusa XLと同じNextruderが搭載されます。(ただし内蔵されているボードは小型のものでXLとは異なるやつだそうです。)

Nextruderは、ノズルの交換が簡単にできたりと高精度・高機能化された新しいエクストルーダになります。(ファン、ヒーター、サーミスタなどがコンポーネント化され、簡単に交換が出来るみたいです。)

Nextruderに搭載されるレベリングセンサーについても現状より高性能になるようです。

本体のベースとなるアルミフレームについても改善されており、MK3S+からのパーツ変更(プラスチックパーツ含む)は90%になるそうです。

Z軸のロッドについては、8mmから10mmと太くなっています。

また、ステッピングモーターについても、より高精度のものになるようです。

細かい部分ですと、エクストルーダが変更されたことにより、Y軸の印刷領域が+1cm増えています。

あとは、最近では普通になったネットワーク機能も充実されています。(有線LANとWi-Fi)

などなど、メジャーアップデートなだけあって非常に魅力的な機能が盛りだくさんになっています。

・Prusa MK4へのアップグレードキット

MK3S+からMK4へのアップグレードキットもすでに購入が出来ますが、発送は2023年6月の予定になっていますが、生産上の過負荷でMK3.5へのアップグレードキットの提供は2023年の後半か2024年の前半になるようです。(残念ですね。。)

アップグレードキットは、構成が異なるMK3.5 upgrade・ MK3.9 upgrade・MK4 upgradeの3種類が用意されており、予算に合わせてアップグレードする範囲を選択することが出来ます。

詳しくは、下記公式ページをご覧頂ければと思います。
Original Prusa i3 MK3/S/+ to MK4 upgrade kit | Original Prusa 3D printers directly from Josef Prusa

それぞのアップグレードキットの価格と構成は以下になりますが、MK3.5 upgradeについては、新しいエクストルーダ関連が付属せず、MK3.9 upgradeとMK4 upgradeの違いは、ステッピングモーターの違いになります。
MK3.5 upgradeが249ドル(Nextruderと0.9°per stepのステッピングモーター無し)
MK3.9 upgradeが499ドル(0.9°per stepのステッピングモーター無し)
MK4 upgradeが579ドル(全て込み)

MK4と同等にするアップグレードキットが579ドルになるので、この価格であれば+220ドル追加してMK4を1台買った方がお得な気がします。

MK3.5 upgradeだけでも、印刷スピードが向上するのでMK4のメリットはかなり享受できそうです。

MK3.9 upgradeにすれば、Nextruderが付属するので今後のノズル交換などのエクストルーダ周りのメンテナンス性やベッドレベリングの性能向上のが出来るかと思います。

MK40 upgradeは、MK3.9 upgradeに加えてより精密な印刷が可能になりますが、MK3.9 upgradeと大きな差はなさそうです。

細かい付属品については、以下の商品説明が参考になるかと思います。

MK3.9 contains everything from the MK4 except for the X/Y/Z motors (Nextruder motor is included). You will reuse the frame, PSU and motors from your MK3S+. 

MK3.9 upgardeは、MK4のX/Y/Z motors以外が付属していて、それ以外は含まれていると読み取れます。ただ後半の説明にフレーム、PSU、ヒートベッド、Nextruder以外のモーターは、既存のMK3S+から再利用するとなっています。

なので、今わかることはMK3.9 upgradeについては、フレーム、PSU、ステッピングモーター、ヒートベッド以外のパーツが付属するようです。(プリントパーツは、フィラメントが付属するのでアップグレードする前に事前に印刷する必要があります。)

MK4 upgardeは、MK3.9 upgardeの内容に加えて新しいステッピングモーターが付属するのが違いになるかと思います。

ってことで、まだ実物は手に入っておりませんが、新しいPrusa i3 MK4について少しづつレビューができればと思っております。

また、引き続きPrusa MK4もオープンソースとなるようで、MK4用のプリントパーツも公式サイトで公開されているので、近い将来にはAliExpress等でクローン版のPrusa MK4も販売されるかもしれません。

ただ、MK4のメインボードがPrusaオリジナルのカスタムボードになるので、実際にクローンで発売されるのはまだまだ先になりそうな予感がします。

どうやら完全なオープンソースにはならずに、Prusaからライセンス提供を受けたベンダーのみが販売できるような仕組みになりそうです。

なのでMK3Sの様な完全なクローン版が発売されることは無さそうです。

・MMU3(Multi Material Upgrade 3)

次に、マルチマテリアルアップグレード(MMU3)もバージョン3が発売されます。(MMU2Sは、なかなか扱うの難しかったので色々と改善されることを願っております。)

価格も据え置きの299ドルですが、今回からはプリントパーツは自分で印刷する必要があります。

そのためのフィラメントが付属していますが、+30ドルのオプションで印刷済みプリントパーツを付けることも可能です。

MMU3については、MK3S+でも利用可能でMMU2Sからのアップグレードキットも発売されています。

こちらは89ドルですが、MK3S+用とMK4用で分かれています。(コントロールボードとの接続ケーブルの違いかなと思います。)

制御ボードは、MMU2Sと同じものになるようです。

ついでに8月上旬にMMU3の組み立てマニュアルが公開されたので、MMU2Sとのパーツ比較を行ってみましたが、PD-board addonと呼ばれる専用の電子パーツ以外は細かい汎用部品が異なる程度でした。マニュアル上での比較なので多分ですが。。

MMU3で、地味に良さそうな改善点は、MMU側でエラーが発生した時に以前は、LEDで判別する必要がありましたが、MMU3からは液晶にエラー内容が表示されるようになるそうです。

これによりトラブルが発生した時の対応が簡単になりそうです。

また、付属のフィラメントバッファーも黒いアクリルパーツを使用するのは変わりませんが、かなり改善していそうでした。

現在の状態は、MK3S+用MMU3が予定通り6月末に出荷開始予定になり、MK4用は8月下旬に出荷予定になっています。MMU3がMK3S+とMK4で異なる?(コントロールボードとの接続ケーブルが異なるっぽいです。)のかは分かりませんが、MK4用に関しては最終的なフィラメントセンサーの調整が残っているみたいです。

2023/7/28に先行してMK3S+向けのMMU3が購入可能になりました。(記載はありませんが、Original Prusa i3 MK2.5、Original Prusa i3 MK2.5S、Original Prusa i3 MK3、Original Prusa i3 MK3Sでも使用できる様です。)

詳しい改善点は公式ブログで紹介されています。

https://blog.prusa3d.com/original-prusa-mmu3-is-here-multi-material-printing-with-improvements-all-around-now-shipping_80485/

実際のMMU3へのアップグレード後の印刷レビューについては、別記事にまとめたおりますので是非ご覧ください。

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